ヘタレな無職の日記

仕事ができず窓際に追いやられた無能リーマンが節約と投資、副業で資産形成し、31歳で退職しました。これからは少しの小遣い稼ぎ(Uberとか)と家庭菜園、資産切り崩しで生きていきます。

コンビニのアルバイト体験記 番外編 その1【万引き犯現る】

コンビニでアルバイトをしていると、万引き犯と遭遇することがある。

ある日・・。

それは私がレジで待機しているときであった。

1人の少年が入店してきた。

少年は多分高校生くらいだったと思う。

髪は坊主頭で、真面目そうな外見だった。

その少年は、カウンター前まで来ると、そこで立ち止まった。

彼が立ち止まった場所はカウンターフーズが陳列してあるホットショーケースの前だった。

私はすぐにでもこの少年がカウンターフーズを購入すると思い、レジでずっと待機していた。

しかし、その少年は場所から立ち止まったまま一向に動こうとはしなかった。

ずっと、ホットショーケースを眺めていた。そう見えた。

「こいつカウンターフーズ選ぶのにどんだけ悩んでるんや。」と思いながら、ふと、何かがおかしいと感じた。

少年はホットショーケースを眺めているように見えたが、よく注視してみると、隣に置いてあるタバコのショーケースをチラチラと見ていた。

少年は明らかに未成年。年齢で買えないことは彼にも分かっているだろう。となると考えられるのは・・。

私は少年のことを注視した。こいつがその場から動かない理由は容易に予想できた。

「こいつ俺がレジから離れるのを待っているんじゃないか?もしこいつから目を離したらどうなるか。」

そう思った私はその場を決して離れようとは思わなかった。

こいつが行動を起こすのを注意深く監視した。タバコを万引きしないように・・。

それから数分が経ったであろうか。

彼はようやく動き始めた。見つめていた視線をカウンターフーズのホットショーケースに集中させたのだ。

そして、しばらくすると少年は今度は私のほうに視線を向けた。

何かされるのかとびくびくしながら、上等だと言わんばかりに私は覚悟を少し抱いた。

と、その時、少年は口を開いた!!

「フライドチキンください。」

( ゚д゚)

思わずズッコケそうになってしまった。何かされるんじゃないかと身構えた私はいっきに緊張が解けてしまった。

私は「承知しました。」と言って、彼が頼んだフライドチキンをホットショーケースから取り、彼に渡し、会計を済ませた。

ふと気づくと、後ろに他のお客さんが列をなしていた。

私は少年にフライドチキンを渡して、次のお客さんの相手をしようとした。少年はそのまま、店を出ようと出入口に向かおうとしていた、その時だった。

少年は急に顔をこちらに向け、私の様子を確認すると同時に、左手をタバコのショーケースのほうに伸ばした!!

そして、タバコのショーケースからチャリーーーーンという鈴の音が聞こえた。

私は「まさか」と思い、彼が向かっている店の出入口へ目を向けた。

鈴の音は、タバコをショーケースから取ると、後ろに並べられている商品がバネの復元力により押され、その動きで鳴るようになっている。

そう、鈴の音が鳴ったということは、誰かがショーケースからタバコを取ったことを意味していた。

そして、その方向へ目を向けると、そこには出入口に向かおうとしているあの少年しかいなかった。

フライドチキン購入はこの行動を実行するための布石だったのか!!

そして、私が少年の次の客の対応をする隙を突いて、彼はタバコを万引きしてみせたのだ。

しかし、本当に万引きしたかどうかは確実に目撃することはできなかったので、その場で少年を止めることはできなかった。

私は少年をガン見した。

少年はガラス張りの出入口のドアにうっすらと映っている、ガン見した私に気づいた。

少年はこちらを振り向き、驚いたような顔をしていた。

そして足早にその場を去ってしまった。

万引きの一部始終を店長に報告しようか悩んだ。

私は悩んだ。

今回あったことを店長に報告するかどうかで悩んだ。

少年が万引きしていたかどうかは実際に確認できているわけでもなかった。

私の思い過ごしだったらどうしようと。

しかし、もしあの少年が本当に万引きをしていたとしたら、また店にやって来て同じことを繰り返すかもしれない。

それにここで報告したほうが、親にも報告が入り、少年は親に尻を叩かれたほうが、今後少年がまともに生きるためにも必要だろうと思った。少年のためを思ったのだ。

私は意を決して店長に報告した。

すると、店長は少年が来店していた時間を尋ねて、私はそれを伝えた。

店長は店内に設置してある防犯カメラの録画動画を確認した。

すると、それは映っていた。少年がたばこのショーケースから商品を取り、足早に出入口に向かおうとしている瞬間がバッチリ撮れていたのだ。

そして、店長は目を細め、何かに気づいたようにハッ驚いたような顔をした。

「こいつ、常連さんの息子さんやわあ」

いつも店にたばこを買いにくる女の常連客がいたようだ。その常連客の子供だそうだ。

私は店長にどうするつもりなのか尋ねた。すると、店長はこう答えた。

「女性の常連さんにこの防犯カメラの動画を見てもらう。そして、どう思うか聞いてみるわあ」

常連客なので、はっきりと息子さんが万引きをしていることは言わず、動画の感想を聞いて常連さん自身に自覚してもらうということか。

「しかし、腹立つなあ~。ボン君よく気づいてくれたね。ありがとね」

私はそう言われて、少し誇らしい気持ちになった。何だこの清々しいほど爽快な気分は。いつの日にもない自己肯定感が私の心を満たした。

そう、あの万引きGメンになった気分であった。

万引きGメン・・。かっこいいではないか(´ω`)

逃げられてるけど

後日

常連の女の人と万引きをしたその息子さんが後日、店に来て謝りに来たそうだ。

そして、息子は店にたばこの代金を支払った。

母親は他に盗んだものはないかと息子に余罪を追及していたが、本人は無いと言っていたそうな。

私はその日はシフトが入っていなかったので、その場に居合わせることができなかった。

息子が私の顔を見て、「こいつが俺の万引きを見破った男か!!」とびくつき、恐れをなす表情を見たかったが、残念である。

しかし、万引き犯の出鼻を挫いたと思うと、シメシメ感は相当なものであった。

ま、今回は偶然、犯人が常連客の息子だったから良かったが・・。