市民農園の畑を2月に契約する予定でいるのですが、それまでに畑の管理をどうするのか大雑把ではありますが考えてみました。
基本的には無農薬、無肥料の自然農法を採用して行いたいと思っています。
自然農法というのは、肥料や農薬など外部から手を加えることなく、植物や土壌生物たちの生態系を利用して作物の生育を促す自律的なシステムを作る農法です。
有機農法だと有機JAS等に指定された天然由来の有機肥料を投入するので、外部から手を加えるという点で異なりますね。
ただ自然農法はただ放置していれば良いというわけではなく、作物が自律的に生育ができる環境を試行錯誤して作っていく必要がありますね。
というわけで、作物をどのように育てていくか?畑の管理をどのようにしていくか?色々と考えてみました。
1.無肥料
まず、作物がどのように生育していくかですが、空気中に80%存在すると言われている窒素により、植物の生体を作っていきます。
ただ、窒素をそのまま利用することはできないので、土の中でアンモニア態窒素、硝酸態窒素などの無機窒素に変換して、植物が吸収できる形にするんですね。
そして、この変換は土壌の中の微生物たちによって行われるわけです。分解して有機物の中に含まれる窒素を無機窒素に変換するわけです。
そして、肥料を投入することで、さらに分解が促進し、土の中に異化(放出)される無機窒素が増え、作物の生長を促進するわけですが、窒素が多いと、それだけ窒素要求性の高い微生物が増加するんですね。
これによって、土壌中の無機窒素が窒素要求性の高い微生物によってたくさん吸収され、土壌中の無機窒素は減少、窒素欠乏状態に陥ってしまいます。
しかし、肥料を投入しないようにすると、窒素要求性の低い微生物が優占するようになり、窒素が微生物に再吸収される有機化の割合が微生物が無機窒素を放出する割合を下回り、無機窒素が増加します。よって作物の生長が促進されるわけです。
2.肥料の代わりにC:N比の高い有機物を施肥
炭素は植物の成長のためのエネルギー源となります。
炭素と窒素の比率は生物によって変わります。
炭素と比べた時の窒素の相対的な割合をC:N比と言います。
C:N比が低いと、炭素に比べて、窒素の割合が相対的に大きくなり、窒素要求性の高い微生物が優占してしまいます。そうなると上述のように窒素欠乏が起きやすくなる。
C:N比が高いと、炭素に比べて、窒素の割合が相対的に小さくなり、窒素要求性の低い微生物が優占し、さらに炭素をエネルギー源とする生物的窒素固定が、炭素の増加でさらに促進され、無機窒素が増加し、植物の成長につながる。
生物的窒素固定とは空気中の窒素ガスを細菌が取り込み、水素ガスと結合して、アンモニアを発生させ、農作物を外部に持ち出した時に不足するようになる窒素を補うことです。
C:N比の高い有機物は作物残差なので、食べた無農薬野菜の残りや、育てた作物で余ったものを畝間に埋めていこうかなあと考えています。(畝とは畑に、作物を植えるため、土を盛りあげた所)
後は刈った雑草をマルチ代わりに作物の周辺に敷いて、かつ有機物として分解させ、無機窒素を土壌に増やす形を取ろうかと。
3.マメ科の植物として、大豆を作物の間に植えていこうかと
マメ科の植物として、大豆等を他の作物の間に植えていこうかなあと考えています。
というのは、マメ科の植物には窒素固定細菌の根粒菌がいるからです。
彼ら窒素固定細菌は、空中の窒素ガスをキャッチして、変換して土の中の無機窒素を増やしてくれますからね。肥料の役割として植えてみようかと思います。
また、豆以外の枝や根といった作物体を引っこ抜いて外部へ持ち出してしまうと、土壌から無機窒素が失われたというデータもあるそうなので、豆を収穫しても枝とかは基本放置しようかと思う。
新たなマメ科の作物を植える場合は多分引っこ抜いてしまうと思いますが。
4.雑草は基本放置
雑草取りは基本しないで、放置する方向で行こうと思っています。
これは雑草を放置することで、畑の生態系の生物の多様性を増やす狙いです。
多様性を増やすことで、農地での有害生物を抑える競争、捕食、寄生などの相互作用を高め、生物的防除を有効に機能させるのである。
ただ、根っこまで取り除くことはしない。地上部だけ刈り、根っこは引っこ抜かないようにすることで、害虫の天敵を増やすこともできるそうだ。
ヨトウガ等の捕食天敵であるコモリグモ、ハネカムシ、ゴミムシが増えたという報告があるようだ。なので害虫対策にもなるだろう。
また、草を根っこから取り除かず、刈り取ることで、根からの滲出物が増え、土壌細菌が増加。細菌を食べるセンチュウが増えて、土壌窒素の無機化が促進し、無機窒素が増えたとか。(ミヤコザサの新芽を抜き取った場合)
なので、基本雑草は放置でいこうかと。
ただ、野菜よりも背が高くなる雑草は刈ろうかと考えています。光合成優位な状態を雑草より作物のほうを高めないといけませんからね。
それと、市民農園なので、隣の区画の利用者が雑草生やし放題の私の畑を見て、嫌がる可能性もあるので、敷地の境界には雑草が生えないように、マルチを施し、雑草を生やす場所も作物の周辺だけとし、残りの場所はしっかり雑草を取ろうと思います。
5.土は耕さない
耕すことにより、徘徊性の蜘蛛等、害虫の天敵になる生物の種類や密度が低下する。
またミミズの糞が糞団粒を形成し、雑草に含まれている炭素を団粒の中に閉じ込め、耕さないことで崩壊することなく、比較的長い間土壌中に残るため、ミミズが生息できる環境で土壌炭素も増加するようです。
取り敢えず、野菜を植える場所は耕さず、その間に溝を掘り、掘った土は野菜を植える場所に置いて、山を形成して畝とし、そこに作物を植えていこうかなあと思っています。
6.育てる野菜は固定種、在来種が基本
1世代で終了してしまい、2世代目以降は品種が劣化してしまう種子をF1種と言うそうなのですが、スーパーで売っているのはこの品種が多いそうです。
固定種、在来種は2世代目以降も劣化せず、同じ品種が収穫できるそうで、基本は固定種、在来種の野菜を育てようと思います。
固定種、在来種の野菜の種を売っているサイトを調べてみると、以下が出てきました。
特に自然のタネは、無農薬、無肥料の自然農法で育てた野菜から採取した種ばかりなので、より安全で安心だと思います。
高木農園や野口のタネですと、チラウム消毒したものとかもありますから、その辺注意ですね。
お値段はホームセンターで売っているF1種の種よりは高い感じがしますが、それでも買えない値段では無いと思います。ってか200円~300円とかだから安いかな。
種はこのへんで買っていこうかと思います。
取り敢えずは、大根、山東菜、小松菜、枝豆、ピーマンを購入予定
参考文献
文献はこの辺を参考にしました~。
「土壌生態学」金子信博著
「土壌生化学」犬伏和之著
「すごい畑のすごい土」杉山修一著
「ここまでわかった自然栽培」杉山修一著
前者2冊は専門的なので、難しいので、読むのなら後者2冊がとても分かりやすく、お勧めです。
とても目からウロコで興味深く、面白いので興味ある人は読んでみてください。稲作の自然農法についても書いています。